時間が無くなって焦って最後はゆっくりと諦めていくその感情にどこか人の一生と人生の縮図の様な物を感じた。絵が描けない、自分の思うような作品が作れない。作れないというよりは”思う”事が出来ない。

終電前、渋谷駅への道を歩く。
桜ヶ丘の解体工事のまっ白い壁が延々と城壁の様に並ぶ。キャンバスに見えた。自分が描く絵はどんな場所にあるのだろう。小綺麗な格好をした人が前を歩く、自分はなんて無頓着な格好をしているのだろう。

いつもいつも、真っ暗で何もない、人は人生はそれを、いや、自分だけだ。自分の様な燻っただけの人間は真っ暗な中にいて自分の光から反射するものを見ない。弱すぎるし、光を出さない。

蛾の様に光を求めて届かない光を羽をボロボロにしながら射幸感だけを求め、その気持ちで真っ暗闇から逃げているだけだ。

悔しい、悔しいという気持ちに向き合ってほしい。何もないんだということを、そういった絶望の中で生きて欲しい。