岩を詰めた窓
道の先は行き止まりだった。
僕は河川敷のベンチに座っていて、
目の前を自転車に乗った男が通り過ぎた。
ここは通れないよ。
土手にのぼって迂回しないといけないよ。
男は行き止まりの道を選んでしまった。あいつは必ずUターンをする。来た道を引き返すんだ。そしたらまたベンチに座る自分の目の前を通り過ぎる。
川の流れが逆流するように、水底で眠っていた泥が塵をまき散らして吹き上がるように、
過去から未来へ一定の早さで流れていく清らかな物事のめぐり合わせが濁る。
男は行き止まりの黄色い柵を外して陸橋下の自分の背丈程伸びた草むらの中に消えていった。
僕とその男は二度と会わない。