キュベーバ博士はクラゲの研究者だ。
雨風をしのぐ家が無くて、遠くで立っている警備員が自分を警戒している事を知っている。
だから自分も警戒仕返す。
これでお互い様だあ。と彼は言う。
キュベーバ博士はスペースの真ん中に荷物を置いている。
これならどこからでも監視が出来ると親指の爪を噛みながら言う。
キュベーバ博士は公園の隅に置かれた猫の家の存在を知っていて、
そこに住んでいる猫が耳の病気に侵されている事は最近知った。
それでも博士は、真ん中は俺だから。と言う。

その日を境に彼は不特定多数の人間から憎悪の眼差しを受けることになる。

博士があれからクラゲを見たのはテレビの液晶越しで、
クラゲが、始めは兄弟揃って繋がって生きていて(それは2匹だったり3匹だったり4匹だったり)
いずれ分裂して広大な海へ旅立つ事を始めて知った。

博士がボタンを押すのは、それから3日経ったある日の朝である。