深夜のラジオから
溜め息の様な女性の歌声が聞こえた。
私は彼女の名前を知りたかった。
私は携帯を片手にヘッドホンのコードを
引っぱり通信を試みる。
電波よ繋がれ。あなたの名前を知りたい。
ジャズのリズムは流れる。彼女はまだ溜め息をついて歌ってる。
しかしモニターは未だに通信中であって、
私がボタンを押した時からその姿を変えない。
演奏が、彼女の歌声がフィードアウトしていく。
彼女の溜め息が深夜の曇り空にフィードアウトしていく。
モニターは私に言う。通信に失敗しました。
彼女の溜め息は消え、
次は私が溜め息を出す番となった。
“試験電波発信中です”