その子とは川崎の外れにある
小さな店で出会った。
僕はその子に一目惚れ。
なんせ、あの子の事が気になって
何十分も店から出られなかったのだから。
興奮で熱を持った頭を冷やしに
東扇島の人工海浜へ行った。
広くて何もない…けどアンテナを広げれば色々受信する。
鉛色の空、海の向こうに見える鉄の建物、
プラスチックが溶けたような匂いと汐の匂い。。
空は暗くなって煙突から吹き出す炎が
くっきりと紫色になって空の上で踊ってる。
それにしても、
その空の上で踊る紫色の炎が
どんなに魅力的だとしても
あの店で出会ったあの子の顔が離れない。
何でも出来る子がいいよ。と言われる。
でも僕はその子には出来る事以上は求めない。
だって 彼女はちっこくて肌が白くて可愛いげあるんだぜ。
僕は再び店に戻り、
彼女をコレダの後ろに乗せて多摩沿線道路を走りだした。
街頭を何本も通り越して川崎総合科学の横を抜ける
ちょうど僕が高校生になった時が君の時代だったんだね。
家に帰って彼女をケーブルに繋げる。
そして僕が人差し指で君のスイッチを押すとき、
君の背中のマークが光るとき、
君が長い睡眠から目が覚めて液晶越しに微笑みかけるとき、
僕は心の中で君に初めての声を掛ける。
ハローマック。

※ちなみに一緒に映ってるゲームボーイポケットレッドも
ポケットプリンタもピカチュウ通信ケーブルもハロー。