彼はこの間突然死んでしまったのだけど、
と言ってもリアルの世界で毎日顔を合わせていた仲ではないし、ネット越しの付き合いだったから棺に入った彼を見るまで現実感なんて全然無くて。
涙なんか出なかったよ。でももう会えないんだ。会えないんだぞ。って頭の中で反芻していた。

彼と出会ったきっかけはロクジョーヒトマだった。
当時はまだ高校生だったけど変わり者でゲームボーイアドバンスにロクジョーヒトマ4を1から移植していた。動いている開発中のゲームを見て興奮したな。


今の時代ゲームを作るのは敷居が下がっていて有名なソフトを使えば誰でもそれなりの物は作ることが出来るんだろうけど、その中でも彼は最初から独特の拘りを持っていたし僕はそんな彼の性格が好きだった。
それをきっかけにSNSで繋がってChiptuneのイベントにも来てくれてご飯も何度か食べたし会社にも遊びに来てくれた。
僕は彼がどんな成長をしていくか楽しみで。てか、いまsoundcloudに上がっている曲聞いたらむっちゃいい曲作ってるじゃん。抑揚があって、煩いだけじゃなくて、アレンジだとしても良いな。はあああああ、死んでんじゃねえよ〜、何やってんだよ。

とにかく僕は彼の未来が楽しみだった。ヒトマの完成だけじゃないよ。この先彼がどんな人生を歩んでどんな作品を作っていくのかが楽しみだった。
今の時代アーティストなり絵や音楽プログラム映像とかく何でもクリエイティブしてる人らは外から見られる自分のイメージを大事にしてるし、自分の作品の宣伝も上手いけど、僕は彼のそういう部分に対しての不器用さや不安定な所も好きだった。
なんて言うんだろう、コミュニティの中でうまくやろうっていうのではなくそれ以前に自分の人生や死生観、漠然とした大きな不安に対し逃げも隠れもしない姿勢がとても真摯だったと思う。本当に純粋だった。まあこれはいくらでも自分が後付け出来ることなのだろうけど。
でも僕は技術とか世の流行りとか皆がイケてると思う物とかを全部無視して自分の深い井戸の中にある様な感情を形にした作品に触れてみたかった。


はあ。いま何考えてんだろう。

僕はGhost君の事を何も知らない。友達っていうほど仲が良かったわけではないし彼のサブ垢もフォローしてないし。ただ俺は彼が思い悩んだ末とか全てに絶望してそういう事をしたとは思ってない。絶対に心の炎は消えてなかったと思う。急に突風が吹いたようにフッと飛んで行ったのかなと思ってる。だからこそ、だからこそ馬鹿だよ。馬鹿って言わせてくれ。本当は君は馬鹿じゃないし俺より頭いいけど馬鹿って言わせてくれ。そしてもし次があるなら上手くやってほしい。
この先の未来、沢山の人が生きる大きな世の中のスケールで言えば、どんなにすごい人が死んでもその欠けた部分はまるで水に穴が開いたようにすぐに塞がって何事も無く進んでいくと思う。残酷だけど。それはもちろん自分が死んでも同様。多くの人の記憶やネットの記録からもやがて無くなる。
このサイトは自分が死ぬまで残していくつもり(死んでサーバー代が払えなくなったら消えちゃうけどね)だし、僕が死ぬまで僕から見たGhost君という人間の事は僕の人生のためにここに残しておこうと思う。

気持ちの整理は以上です。
(加筆修正はある)