あいつら、塩辛ければ美味かろうが
不味かろうがどうでもいいんだろうな。

どうしたの?

いや、他人の話。
 
 

後ろ通ります。

おい、いま聞いたか?
あいつら俺の後ろを通って行ったぜ。
いつのまに?こんなのは初めてだよ。

あなた、ただ知った気になっているだけよ。
既にそこにある大体の事に気づいてないだけ。
 
 

前通ります

あ、ほらっ、前も通っていった!あいつめ、あんな顔していたんだな、
3番目は足を引きずって歩いてるよ。2番目のテープは何に使うんだろう?

─あなたが羨ましい。
新品に取り替えた換気扇のシートみたいに、見る物触れる物全部新しいんだろうね。きっと。数を数えてみればいい。
口から出てくる言葉、ひとつひとつが全て新しいんだよ。それって怖いけど、羨ましい事だと思う。
 
 

あの頃、私達はまだ、20代前半で。
真っ白いご飯に
少しのおかずがあれば
幸せだった。