#676767
終電のホームの階段の真ん中で、ボサボサな長髪にニット帽を深めに被り、頬に苦労の皺を幾十に重ねた女性が透明なプラスチックケースを両手に抱えて、遠くを力無く見つめながら立っていた。
話なら聞きますよ。
白熱灯の光の下、遠赤外線ヒーターが地面をほのかに赤く照らす暖かいところ、雨音が遠のく様な場所で、肌触りの良いブランケットを膝に掛けて、温めた牛乳を飲みながら。
そんな男がいたら幸せだっただろう。
終電のホームの階段の真ん中で、ボサボサな長髪にニット帽を深めに被り、頬に苦労の皺を幾十に重ねた女性が透明なプラスチックケースを両手に抱えて、遠くを力無く見つめながら立っていた。
話なら聞きますよ。
白熱灯の光の下、遠赤外線ヒーターが地面をほのかに赤く照らす暖かいところ、雨音が遠のく様な場所で、肌触りの良いブランケットを膝に掛けて、温めた牛乳を飲みながら。
そんな男がいたら幸せだっただろう。
(地上から)高いところで珈琲をカップで飲んで椅子に座っていて、椅子は1つのテーブルを挟む形で1つあるんだけど、もう1つの椅子の上には自分の鞄が座っていて、窓の外には雲がぽかんと1つ浮かんでいて、オレンジと水色のグラデーションは綺麗だけど、ぽかんと浮かんだ1つの雲が遠足の集合時間に遅れて置き去りにされた子供のようにどうしていいかわからないみたいで、僕は本を読んでいてその本は季節の言葉の事を解説していて、例えばうなぎの料理の方法は西と東と違っていてその昔江戸は武士の町のためハラを切るのは忌まれていたので背ざきに逆に大阪は町人の町だったので料理の早い腹ざきにするとかなんとか、ぽかんと浮かんだ雲の様にすぐ忘れてしまいそう(本当は忘れたくない)な事が書かれていて、お腹の中にはカレーライスと先ほど珈琲と一緒に頼んだケーキが入っていたので、僕は幸せそうな気分で寝た。
次の夢は東扇島の川崎マリエン前あたりのボコッとへこんだ道路の上で、細長いトラックが止まって作業着のおじさんがハイパーヨーヨーのガチャガチャを運んでた。中身は偽物だった。
小学生の頃に買ったハイパーヨーヨーは偽物の安物で、透明なプラスチックに橙色と緑色のパーツが埋め込まれた物だった。
不良品で買ってすぐ壊れてしまい、自分で無理やり直そうとドライバーで穴を開けて状況を更に悪化させた。
次の日、返品をしようとヨーヨーを買ったおもちゃ屋さんに自転車を走らせた。
開店前の時間から座って待ってたっけ。
おもちゃ屋さんの人は優しくて、新品の偽物のハイパーヨーヨーに変えてくれた。
クラスメイトの名前はもう忘れてしまったけど、そんな優しさは憶えている。
9時間くらい寝た。夢を見た。
作ってるアプリについてむっちゃ怒られた。
これは人が触る物じゃない。
僕はその人を直径2平方メートルくらいの即身仏セットに入れて竹藪の土の下に埋めた。
おまえは、どの顔で、人を語り、人を代表して?
泣きながら問い詰めて、通気口代わりの竹筒にまんじゅうを詰め込んでごはんだよ、ごはんだよって。空気は無くなるけどごはんはあるよって。←嘘ね。意地悪言ってやった。
自分の損益に関係ないのに人のやり方を非難する人間に負の連鎖を感じずにはいられない。
尊重の無い人間は嫌い。
尊重、出来ないの?人間を。
表現や手法が手探りで滑稽に或いは不快で不様に見えようとも、自分の生き方に真剣に向き合う人間は好き。(人間らしいから)
それに対して別にその人の人生を責任持つ訳でも巻き込まれる訳でもないのに非難したり勝手に怒ったりする人は嫌い。(人間らしくない)
更にそういう意見に左右されてしまう人間も悲しい。(人間らしくない)
まあ、どっちみち俺には関係ない事だからさ。おまえら、うまくやってくれよ。。。
(窓の外で死の重低音が響いてる)
道の先は行き止まりだった。
僕は河川敷のベンチに座っていて、
目の前を自転車に乗った男が通り過ぎた。
ここは通れないよ。
土手にのぼって迂回しないといけないよ。
男は行き止まりの道を選んでしまった。あいつは必ずUターンをする。来た道を引き返すんだ。そしたらまたベンチに座る自分の目の前を通り過ぎる。
川の流れが逆流するように、水底で眠っていた泥が塵をまき散らして吹き上がるように、
過去から未来へ一定の早さで流れていく清らかな物事のめぐり合わせが濁る。
男は行き止まりの黄色い柵を外して陸橋下の自分の背丈程伸びた草むらの中に消えていった。
僕とその男は二度と会わない。